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2023.12.27
飼い主が亡くなって、残されたのは精神発達障害の息子と猫

 

2023年12月22日、 私たちが引き取った猫のシロちゃん(男の子、4歳半)は、人間のエゴの末の犠牲になったといえるでしょう。

1年前(2022年冬)のこと、家事代行で週3日くらいビルに通って働いているというSさんからメールで相談を受けました。

「1年半前、高齢のお母様が亡くなり、息子のYさん(50歳代)が残されたが、(何らかの障害があるとみられ)飼い猫のシロちゃんの世話ができない。自分が勤務日にシロちゃんの世話をしてきたが、契約が終われば、シロちゃんの世話もできなくなる」

シロちゃんの行く末を心配する相談でした。

私たちは、千代田区の動物を担当する保健所に相談を伝えましたが、Yさん本人または親族から申告がなければ、行政が介入するのは難しく、また非営利法人である私たちもYさんと飼い猫について話し合うことが難しい。その後は、家事代行の人と時々連絡を取り合い、様子をうかがうという状況が続いていました。

 

事態が展開したのは今年(2023年)10月。

Yさんが出先で倒れて、救急車で病院に運ばれ、入院先の病院で「精神発達の障害を抱えている」と診断されたのです。これをきっかけに行政が介入することとなり、委託する社会福祉・精神保健福祉のNPO法人が相談支援を行うことになりました。

シロちゃんについては、私たちが保健所と連携協働して対応することになり、人の福祉のNPO法人もまじえて話し合いました。

親族はYさんにも飼い猫にも関心がなく、むしろ「経済虐待」が疑われているとのこと。母親から相続しているはずのビルに居住しながら、Yさんが使える食費は月1万円。経済的にも困窮していることがわかりました。

Yさんは社会福祉・精神保健福祉のNPO法人の相談支援を受けることになり、Sさんとの家事代行の契約は12月末で終了、シロちゃんは誰にも世話されることがなくなります。人道上、動物愛護・動物福祉の上からも、私たちは見過ごすことはできずシロちゃんを引き取ることを心に決めました。

まず保健所がYさんに原則を伝えます。

「飼い主はお母様でしたが、相続人が猫も引き取り、終生飼育するのが原則です。行政が引き取ることはできません。非営利法人(私たち)は寄付と自己資金で運営されているため、非営利法人に引き取りを求める場合は、医療費等の負担をしてほしい。」

私たちが負担する費用を心配しての話でした。 しかし、精神発達の障害を抱え、経済的にも困窮しているYさんに費用の負担を求めることはできません。所有権放棄書に署名してもらい、シロちゃんはいったん「飼い主のいない猫」になりました。

そうすることで、区の医療費の一部への助成を利用することができます。 そうして、私たちは猫のシロちゃんを引き取ったのでした。

 

 

Yさんはシロちゃんの行き先が決まったことで、少し安心しているように見えました。 これまで主にシロちゃんのお世話をしてきた家事代行のSさんからは涙がこぼれていました。 動物の問題は、人間の問題。社会の縮図です。

ちよだニャンとなる会と連携協働する姉妹団体『東京都人と動物のきずな福祉協会』では、「不幸な猫ゼロ」を目指して、12月22日からクラウドファンディングに挑戦しています。

シロちゃんのような人間社会の犠牲になる猫を一匹でも多く救うためには、セーフティネットの維持・継続が必要です。

私たちの活動に共感・賛同いただける皆さまのお力を、どうかお貸しください。

ご支援はこちらから↓

https://readyfor.jp/projects/metha-welfare2024?sns_share_token=

シロちゃんは、年が明けたら家族募集を始めます。

子猫の時にお母様に拾われたシロちゃん。

 

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