クリスマスの夜遅く、私たちのもとに切羽詰まったメールが届きました。
負傷か病気か、まさか虐待なのか?酷い状態の猫の写真が添付されています。東京・板橋区で地域に根ざして活動する個人ボランティアの女性からのメールでした。
メールの内容です。
隣接する北区で手術済み猫たちに食べ物を与えているおじいさんが、倒れている猫を見つけた。 12月10日のこと。
ゼイゼイと苦しそうな息をしている。 年金暮らしで経済的に苦しいが、見るに見かねて猫を抱き上げ、近くの動物病院に運んだ。 内金3万円を支払ったが、これ以上のお金を払うことができず、猫の状態も良くなっていなくて、この先どうしてよいかと涙に暮れている。
自分(板橋区のボランティアの女性)としては何とかしてあげたいが、経済的に厳しい。 家では高齢の猫2頭がいて、引き取ることもできない、途方に暮れています、とのことでした。
私たちは、写真を見て、息をのみました。 まさか虐待? 熱湯をかけられた?
動物虐待は今や重大な犯罪です。病気だとしても、このままでは…。写真からは苦しみが伝わってきます。
私たちも、自己資金を拠出している状況ですが、私たちが引き取らなかったら、猫はどうなるのか・・・
そして、12月26日9時、動物病院で高齢男性と合流し、私たちは猫を引き取りました。
キャリーバック越しにも、苦しそうな鳴き声と喘鳴のような音が聞こえてきます。 支払いは14万円余り。手付金の3万円は高齢男性にお返ししました。彼のペットというわけではない猫です。 茶白の毛、左耳先にカットのある女の子、推定10歳過ぎでしょうか。
私たちは、幸せになってほしいと願いを込めて、猫さんを「幸(ゆき)」ちゃんと名付けました。
私たちは、キャリーバッグの中でグーグーゼイゼイと苦しそうに呼吸する幸ちゃんを、連携協力する刈谷動物病院グループ・三ツ目通り病院に運びました。 幸ちゃん、どうか助かって!どうか間に合いますように!
さっそく獣医さんが診察を開始。 視診、聴診、触診、ウイルス・血液・レントゲン検査など。
これまで血と膿でよく見えていなかった幸ちゃんの頭部ですが、頭蓋骨が見えるほどの穴が開いていることがわかりました。
穴から流れ出た膿が顔や前肢に垂れ、脱毛につながったのかもしれません。 風邪症状がひどく、目鼻も汚れています。ノミ糞もいっぱい。下痢も…。
初診のカルテです。
幸ちゃんは、女の子、推定10歳以上。 もともとは大きめの猫だったようですが、体重2.23㎏と栄養状態は低下。
ウイルス検査で、猫白血病ウイルス(FeLV)・猫エイズウイルス(FIV)ともに陰性。
貧血がみられたのは、ノミにたかられていたからでしょう。
口腔内は、右の犬歯が折れ、そのほかの歯も歯石がたまり、歯肉炎、歯周病など。
幸ちゃん、満身創痍でよく外で頑張って生きてきたね。大変だったね・・
頭部の穴については、現時点では「外傷疑い」。 病気によって体内に膿がたまり、穴が開くこともあるようですが、その他の検査の結果によって、何者かが故意に傷つけた疑いがよりはっきりすれば、管轄の警察に通報、告発します。
引き続き、獣医師と連携し、原因の特定に努めます。 今は、患部に絆創膏のドレッシング材をつけ、膿などの体液を吸いつつ湿度を保つようにしています。 頭部の怪我、風邪症状、目鼻の症状にも効くよう、点滴、抗生剤の注射と飲み薬、下痢止めが処方されている状態です。
病院に搬送して数日、みなさんの応援の力が、幸ちゃんに届いたのでしょう! 幸ちゃん、嬉しいことに食欲が出てきました。
ウエットフードを食べています。食欲は生命力のあかし。
頭部の外傷については、患部からの血や膿を吸い取りつつ保湿するドレッシング材の絆創膏を貼っているため、今は傷の状態が見えません。この絆創膏は3日に1度交換して患部を消毒することになっていますので、もうじき傷の状態がわかるでしょう。
膿の培養検査の結果はもう少し先になります。点滴、抗生剤の注射と飲み薬は続けられていて、風邪症状は悪化していないようです。
目鼻はまだくちゅくちゅしていますが、発熱もなく、呼吸も少しらくになってきているように思われます。
病院に入院直後にみられた下痢症状は治まり、下痢止めの薬はもう投与されていないとのこと。 もともと人に馴れていたのか、それとも弱っているからなのか、おとなしく、逃げようとするそぶりもありません。
「先生、どうかわたしを元気にしてください」 とでもいうように、検査や治療にも協力的な幸ちゃん。
幸ちゃん、あんなに道で苦しんでいたのに生きることをあきらめなくてえらかったよ。 外で生きる猫たちのことを思うと、胸が傷みます。 今、幸ちゃんは孤独ではありません。 みなさんがいっぱい応援をくださって、少しずつですが回復しています。
頭部の外傷については、3日に1回交換するドレッシング材の絆創膏が昨日、交換されました。 まだ頭蓋骨が見える状態でした。
写真はドレッシング材の絆創膏で治療をうけている幸ちゃん。
絆創膏が体液を吸っていました。肉が上がってくるまで時間がかかりそうです。
膿の培養検査の結果が出てきて、2種の常在細菌が検出されました。 ひとつがエンテロコッカス、抗生剤の効きにくい細菌です。 もうひとつがスタヒロコッカス、抗生剤を使い続けることによって薬剤に耐性を持ってしまっています。
頭部の外傷に効く薬剤を見つけようという状況です。
幸ちゃんは、とても良い子で検査や治療にも協力的。元気になってシェルターに迎えられる日がきますように!
幸ちゃんのような猫を受け入れできるシェルターの継続体制のために、現在ちよだニャンとなる会と連携協働する姉妹団体の『東京都人と動物のきずな福祉協会』がクラウドファンディングに挑戦中です。
活動に賛同いただける方は、ぜひ情報のシェアにご協力ください。
クラウドファンディングページは下記のリンクから! ↓↓↓
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外の猫たちも命ある存在です。 どんな命も幸せに生きる権利があります。 私たちと一緒に、尊い命を助けましょう!